成長ストーリー



成長ストーリーで大人との関係も子どもとの関係もいいことがあるのです
私たちは子どもの記録を「成長ストーリー」という名前で、子どもに起きたストーリーと保育者の想い・見通しを、
写真と文章でお伝えするものとして書いています。おうちの方にも見ていただけます。
子どもをチェックするような評価方法と比べると、少し手間も時間もかかります。
それでも15年このやり方を続けて来たのは、大人にも子どもにもいいことがあると感じるからです。
 
◎大人のいいこと(おうちの皆様編)
子どもの成長を見ることができ、幼児になるとその時の様子も子どもから聞くことができたりします。
おうちで見ることのない姿を知ることができたり、嬉しそうに話す子どもの様子を直接感じることで
子どもの成長や様子を感じることができる機会となっています。
おうちの方が成長ストーリーを読んで、保育者の目線を通し、今まで悩んでいたようなことが
成長であったことを知ることも多々あり、「最近、イヤって言葉を覚えて、悪い子になったように感じていたけれど、
自分の気持ちを伝えるすべを持ってよかった。今はそれをたくさん使ってみたい時期なのですね。」とほっとされたりということも多いです。
保育者との話の糸口になったり、お互いの気持ちがより伝わる機会となっています。
 
◎子どものいいこと
自分の素敵な場面の詰まった本が出来上がっていくこと。
お客様が来た時など、「私のを見て!」と一緒に読んで、その時のことを詳しく説明してくれる子もたくさんいます。
自分の素敵なところを知ることができるツールとなっています。
園での頑張りをおうちの人に知ってもらえること。
おうちで甘えん坊の末っ子でも、園では立派なお兄さんだったり、家ではできない我慢も園では友達のことを
想ってできていたりする様子を知ってもらえること。そして、褒めてもらう機会にもなるのです。
おうちの人に読んでもらって一緒の時間をすごすことができること。
成長ストーリーを更新した時は分かるようにしています。その時に一緒に読みながら会話する姿が見られたり、
おうちの人が読んでから、子どもとそのことについてお話されている様子を見聞きします。
おうちの方も、子どもも笑顔で会話する時間のきっかけになっています。
保育者がすごいと思ったことを知ることができること
子ども自身が保育者が何を見て素敵と思ったのかを知る機会になり、自分は認められていることを知る機会になっています。
また、できたできないで書いていないので、心が育ったことや自我を出せたことなども大人が一緒に喜んでくれることを知ります。
そのことで「よい子」を演じなくてもそのままの成長を大人が喜んでくれることを知っていきます。
 
◎大人のいいこと(保育者編)
成長ストーリーを書くことで、子どものいいところ、伸びたところを見つけようという想いで子どもを見ることになります。
そのため、子どものできたことに注目するまなざしを養うことができます。
そうすると、子ども達それぞれの個性を自分に都合がよいかどうかに関係なく、温かく見守ることができるようになります。
そのような保育者集団ができることで子どもとの関係も、保育者同士の関係もおうちの方との関係も暖かいものになっていると感じています。
子どもの見方や保育への想いを共有ができる。
保育者同士が、成長ストーリーに書く内容を伝えあったり、他の人の書いた成長ストーリーを読んだりすることで、
他の保育者の視点を知ったり、子どもの素敵な姿を知ったりできます。新しく入った保育者が子どものことを知ることにつながったり、
どういう考え方で保育をしているのかを分かる助けにもなっています。
それぞれに違う人が保育をするということ、一緒に生きるということ。
それぞれの保育者が気づく成長を表現することで、それぞれの保育者の持ち味や得意分野を知ることができ
保育者毎の得意な分野を生かした保育をおこない、苦手を補い合う関係性ができてきます。
大人も子どももそれぞれの凸凹そのままに一緒に生きることで豊かな経験ができることを体感します。
書くことで想いが持続する。

成長ストーリーを書くとき、おうちの人に伝わることや子どもに(いつか)伝わることを想像してなるべくわかりやすいように
何度も出来事や想いを反芻しながら書きます。その様子や成長を思い出してにこにこ。これは、うまく伝わるんじゃないかという表現ができた時にはにやにや。
何度も反芻することで、深く刻まれ次への成長への計画の原動力となっています。
書くのは大変ですが、このようないろいろな“いいこと”に支えられて成長ストーリーを書いています。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。